日本が世界に誇る文化である「漫画」や「アニメ」「ゲーム」キャラクターのリアルビジュアル化などを手掛ける株式会社アニマリアルによるスペシャルTalk Liveが、3月7日(土)OICで開催され、多くの在校生や高校生が参加しました。

 この日は、人気漫画『フェアリーテイル』のリアル画などを手掛ける株式会社アニマリアル代表で人気グラフィックデザイナー市氏と、同じくフェアリーテイルキャラクターのCGパートを担当されたCGデザイナー/イラストレーターuno氏(本校の講師も兼任)が来校されました。

【“1枚の静止画でなら、ハリウッドレベルになれる!”】

 まずは、曽田正人氏の新作『テンプリズム』のリアル化ビジュアルを手掛けた模様のメイキング映像上映から始まりました。作品は、大体10~15人のチーム“アートプロジェクト"というコンセプトで、3DCG・VFX・Effect・特殊メイク・Photographなど色んなクリエイターが関わり合い手掛けていること。また、日本の宝かつ自分たちが大好きな「漫画」や「アニメ」「ゲーム」キャラクターを、愛のある実写化し、「1枚の静止画で、ハリウッドレベルに!」という目標から株式会社アニマリアルがスタートしたことなど、市氏の熱い思いをお話し頂きました。

 また、漫画家の先生たちとのやり取りなどオフレコな裏話もお話し下さりました。実は、漫画家の先生たちは「実在の人物を想定しながら作品(漫画)を作っていることが多い」・「思いのほか実写化を楽しみにしてくださってる」ことや、その先生のキャラクター性が滲み出た打ち合わせでの面白い出来事や、漫画家の先生の独特かつ強いこだわり、例えばあるキャラクターの服装で帯の高さが数センチの違いにこだわるなど、ここでしか聞けないお話がたくさんありました。

 参加した学生たちも、市氏の繰り広げる軽快なトークとその中身に、引き込まれていました。

【“漫画で描かれているそのままではなく、CGで更にリアルになるよう実現する!”】

 次に、市氏と共に今回フェアリーテイルのリアルビジュアル化のCG制作を担当されたuno氏に、画像処理ソフトZbrushを用いた数々の作品を紹介して頂きました。本校の講師でもあるuno氏の手掛ける作品はどれもトッププロレベルで、学生たち一同目を丸くしながら一つ一つを食い入るように見ていました。

 例えば、キャラクターの質感から、各パーツごとに、またはキャラ以外の炎や煙など、細かい所まで数センチ単位で徹底して、何度も試行錯誤を繰り返すことで、作品が出来上がっていくこと。また、漫画家の意図や意思を自身で汲み取り表現していくことの大変さ重要性について。

 その中で、uno氏が放たれた「漫画で描かれているキャラクターをそのままCGにするのではなく、“更にリアル"にそして空想上のイメージも付け足して描いていくことが、リアル実写化では求められるんだ」というお言葉は、CG業界を目指す学生たちの心に強く響いたことでしょう。

【“幾度となく繰り返されるズレをどれだけ解消できるかがクリエイターの神髄!”】

 また、チームのディレクションを任される市氏のようにディレクターとuno氏などクリエイターとの関係性についてもお話頂きました。実際にクライアントから受けた依頼を元にディレクターがイメージする形と、クリエイターが作成したモノとのズレが起こるために、幾度となく両者の間でどれだけズレを解消し軌道修正していけるかが重要だというお話もして下さりました。

 これは、学生たちにとっては、チームで作品制作をする上で非常にポイントとなる内容で皆必死にメモを取っていました。

【“アニマリアルを一つの文化にしていきたい”】

講演の終盤に、学生の皆さんへ市氏からお言葉を頂きました。

 「モノを作りやすい環境に皆はいるわけだから、“将来なりたい自分"をしっかり作らなければいけない」と。また、「自分よりも凄いと思う人たちと仕事をしていって欲しい。そこから学ぶことはたくさんある」と。市氏は学生の頃からご自身がなりたい将来像を強く持っていらっしゃいました。

 そんな自身の経験から、また今日におけるクリエイターが活躍できる環境を見て、どんどん意欲的に自分の将来のイメージ像を強く持って進んでいって欲しいというメッセージのように感じました。また、市氏がuno氏と共同で作品を手掛けられたことからも、一流のクリエイター同士がモノ作りに挑むことは、お互いが更に勉強していこうと突き進む姿に思えます。

 講演の最後に市氏がおっしゃられた“アニマリアルを一つの文化にしていきたい"という一言は、トップクリエイター至極の一言だと思いました。

 参加した在校生にとっては、今後の作品制作や就職活動へ向けて大きな励み・アドバイスになりました。また、高校生にとっても、入学前に貴重な体験をすることでクリエイターへの夢をより一層強くしたことでしょう。

 最後になりましたが、株式会社アニマリアル代表取締役グラフィックデザイナー市氏、CGデザイナー/イラストレーターuno氏、この場をお借りして改めてお礼申し上げます。ありがとうございました!